カヌレというお菓子があります。自分が最初に知ったのは就職して東京にでてきたころ。小さいのにクソ高く、名前も見た目もこじゃれているという点でマカロンと同じ立ち位置という印象でした。
「フランス菓子図鑑 お菓子の名前と由来」によると、昔は薄い生地をラードで揚げてなかにマーマレードを詰めて砂糖をまぶしたものだったらしい。これが19世紀にトウモロコシ粉をつかって型で焼き上げるようになって、それが小麦粉にかわったりオレンジの花の水で香りをつけるようになったのを、最近になってボルドーカヌレ協会ができていまの形が主流になっていったようです。
- 作者:大森 由紀子
- 発売日: 2013/07/19
- メディア: 単行本
そんなどこが憧れのあるカヌレをつくってみました。 衝動買いしたシリコン型で6回ほどつくってまあまあうまくできるようになってきているのでこれまで分かってきたことを共有します。
一番影響を受けているレシピは5年前にじぶんのお菓子の先生と勝手に慕っている尊敬する友人の山村氏から教わったもの。鳥取にあるバイク乗りのためのゲストハウス、Home8823(はやぶさ)の立ち上げや運営に関わったりいろいろやっている才人です。
前提:型について
カヌレ(cannelé)は「溝のある」という意味のフランス語らしく、溝のある型で焼き上げます。 この溝のある金属製のカヌレ型はなかなか高級品です。今回、検索して最初に見た5,000円の商品は何個入っているんだろうと読むと1つでの値段でした。ほかも安くても一つ数千円。何個も揃えられません。 そんななか、最近はシリコンの型が増えていることを知り、探してみました。
ネット上にいくつかありますが、Amazonでのレビューも少なく、Googleで検索しても粗製乱造されたECサイトばかりでよくわかりません。TwitterやInstagramの検索で実際に使っている人がいて、まあ悪くない様子とわかったので買ってみました。
シリコマートの小型の型です。温度は230度まで。 ひとつひとつが小さいほうがたくさんつくって食べることができてよいのではないかという思い。
材料
シリコン製の直径35mm*高さ35mmの小さめの型で18個を3回分です。
- 卵黄3
- 卵白1/2
- 余った卵白は同量のバターと砂糖とあわせてラングドシャにするのが定番です
- 牛乳 500ml
- ラム酒 50ml
- 無塩バター 25g(焦がしバターにする)
- 小麦粉125g(3分の1ほど強力粉をいれます)
グラニュー糖 250g
- (※ グラニュー糖が足りなくてマスコバド糖をいれたときは最初は溶けにくかった・・でも1日置くので溶けます)
型に塗る無塩バター
- 型に塗るはちみつ適量
オプション
- コーヒー 100ml (フレンチプレスにいれっぱなしなどで濃くする)
- バニラビーンズorバニラエッセンス
※ バニラビーンズを使う場合。牛乳を先に入れてビーンズを一晩つけておく
※ シナモンや抹茶で味をつけることもできるはず(自分はやったことありません)
道具
- 型
- オーブン
- 測り
- さいばしor泡だて器
- ボウルたくさん
- フライパンorソースパン
手順
1.焦がしバターをつくる
温度が違うと混ざりにくいので先につくって冷ましておきます。
金属製のカップなどでバターを塊のままいれて火にかける。小さいほうがコントロールしやすい。色が変わってちょっとたったら止める。焦がしきらないように注意する。
cookpadのレシピが詳しいので参考にしてください。
2.粉と砂糖を測ってまぜる
先に粉だけで混ぜるとだまになりにくい気がする。
卵黄・卵白を別の器で溶いておく。
3.牛乳をいれてまぜる
強力粉が入っているので練らないように軽く泡立てないようにまぜる。そのあと卵を入れて混ぜる。
4.まぜる
ラム酒→焦がしバターの順序でいれて混ぜます。焦がしバターは水にほぼとけないのでがんばって混ぜる。液体と油なので基本混ざりにくい。混ぜながら入れる。
これがタネ。ラップして冷蔵庫に入れておく。
(空気をいれないように液面に密着させるとするレシピもあるけれど、浮いたバターが全部くっついてしまうのでよくないと思う)
味をつけるならここで足す(複数の味を同時につくるならここで小分けにして味をつけるとよさそう)
5.冷やす
タネを冷蔵庫で一晩置きます。
6.焼く準備
型にバターを塗る。溶かしきっていないもののほうがつきやすい。
次にはちみつを塗る(スプーンの裏をつかうのがいい気がする)。
- 余っていたシロップを塗ったら美味しいかと思って試したけれど、キャラメル化してねちゃついてよくなかった。
冷やしたタネを軽く混ぜていきます(底がおもくなっているはず)。 おたまなどを使って型にいれていく。
- 卵白があるのでこれを取り除くというレシピも多い。最初から卵白をいれなくてもいいのではという気もするけれどどうなんだろ未検証
- ここで型にいれてから30分くらいおくと表面のスが少ない気がする
オーブンを220度で余熱します。 焼くと膨らむので型に8分目の高さまで入れる。多すぎると溢れます。
7.焼く
オーブンにいれて焼く
時間と温度は悩ましい。オーブンによっても違うだろうので調整してください。
220度で60分ですこし余熱をいれるか、65分がよいという経験則。
30分たったらアルミホイルをかぶせると底だけ焦げすぎることはなくなります。
※ 量はまばらだけれど、30分たってアルミホイルをかけた左と、かけていない右
とりだして冷めたら完成です。 シリコン型はするっと外せます。
はい。
まあまあむらがあったり、素人臭さは抜けないのですがおうちだとこんなもの(妥協)。 焼きたてはやわらかいのですこしなじんでからが外はカリっとして中はもちっとしているし、コーヒーの香りがなかなかよくておいしい。ついついつまんでしまいます。
コーヒー味のお菓子をコーヒーに合わせても意外とありだし、ホットミルクにも合いました。
ちなみに最近は勤め先が出しているコーヒー定期便でいろんなコーヒーとおいしいおやつが届くのでなかなかコーヒーライフが捗っております。
参考
デザート・バイブル
3cmのシリコンの型。シリコンをつかったプロのレシピは珍しいように思う。 230度 40分 (しかし今回使った型の耐熱温度は230度だったのでこれは試していません)フランス伝統菓子図鑑
フランス伝統菓子図鑑 お菓子の由来と作り方: 定番菓子から地方菓子まで132種を網羅した決定版
- 作者:山本 ゆりこ
- 発売日: 2019/09/10
- メディア: 単行本
これは200度1時間
新版 わたしのフランス地方菓子
- 作者:大森 由紀子
- 発売日: 2010/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
細かいところはいろいろ違う。 粉の種類や割合、焼き方などまだまだ試行錯誤の余地があります。 一人で試し続けると家計と栄養に影響があるのでみなさまも試していきましょう。
書いた人
片山
おいしい野菜の定期宅配をしている京都の会社、坂ノ途中でソフトウェアエンジニアをしています。
環境負荷の小さい農業の普及と少量多品目多頻度の野菜の流通をよりよくしていくことにチャレンジ中。
ツイッター: https://twitter.com/daaaaaai
ブログ: https://dai.hateblo.jp