こんにちは。片山です。
この国には生後100日にお食い初めと称して縁起物をたべさせるふりをする風習がありまして、子が生まれて100日ほどたったので自分たちも取り組んでみました。
こういう儀式は地域や家によって違いもあって正解はないし、さまざまなメディアやマナー講師が出典に触れずこうやるもの、と記事を書いていて由来もわからなくなってはいます。とはいえ、なんとか縁起物を用意してやっていこうと思います。 ちなみに自分はお食い初めしていないようです。
鯛
これは定番です。「めでたい」の「たい」とも言われています。 鯛をありがたがるのは日本だけらしいですが、万葉集にも「醤酢に蒜搗きかてて鯛願ふ(長意吉麻呂)」と、醤油と酢で、つぶした蒜(のびる?)をつけて鯛を食べたいという意味の、素朴で直球な歌があるほどです*1。
最初は、タイ焼きでもいいんじゃないかとは思っていたんですが、近隣で鯛ブームがあり(後述)、その流れにのって高知のかわうそ市場さんで、送料込1,600円で「鯛 小ぶり(900g程度)」を買いました。
【200匹限定 捌ける鯛】漁師自慢の逸品「須崎舞鯛」 小ぶり 一匹丸々 | 高知かわうそ市場
注文してしばしするとこれが届きました。40cmあって全然小さくありません。 これだけのものを載せられる測りがなかったので重量はわかりませんが、けっこうずっしり。これが思ったよりも巨大だったので、はじめは妻と子の3人でやろうしていたお食い初めに、わりあい近くに住んでいる妻の両親・祖母を呼ぶことにしまして、これから書くように献立を考えていった次第です。
エラや内臓はきれいに掃除されているので特に準備はなくて簡単。 氷水につかっていたのでキッチンペーパーで水気をふいて、キッチンペーパーをまいて冷蔵庫にしまっておきます。焼く1-2時間前に塩を振る。
焼くのは、ヘルシオの鯛の姿焼きコースで焼きました。メニュー選んで押すだけです。20分ほどウォーターオーブンで処理されます。便利。
はい。皮が剥けています。よく世間でみる姿焼きに「メ」の形で切れ込みが入っているのは皮が縮んでも破れないようにするためだったんですね。
ちなみに食べた後の骨と頭はそのあと炊いて、鍋になったり雑炊になりました。 どれもふかふかの身で味が出ていてよい。妻はこれで酒が飲めると言っていました。
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- メディア: ホーム&キッチン
お澄まし
こんなときくらいちゃんと出汁を取ります。妻が昨年の改元ゴールデンウィーク、一人でカーフェリーに車を積んで北海道を半周してきた際、利尻島で買ってきたよい昆布。二番出汁は後述のお煮しめにして、余った出汁は翌日の茶碗蒸しになりました。
塩で味付けして、はもしんじょうと結び三つ葉とバナメイエビ。 はもしんじょうはさいころ状に切ることで確率に強くなるように、三つ葉は縁を結ぶように結んでいます。エビは、背が曲がるまで長生きするようにと言われていますが、最近は90歳でも背中が曲がっていない人もいるし背が曲がるとQOL下がりそうだしどうかな、と思います。エビ漁で大儲けした善良で率直なフォレスト・ガンプにあやかって、としておきます。
出汁を張る前です。器は妻の実家からお借りしました。
ちゃんと出汁をとると美味しい。 妻はこれで酒が飲めると言っていました。
なます
柿とカブの紅白っぽいなますです。妻がつくりました。
柿は繊細なものが多い果樹のなかでもたくましく育てやすく商業的にもよいこと、カブは大きなカブの寓話にあるように力を合わせることとすべすべで美味しいからです。また、あわせて紅白にしているのは、たぶんフランス国旗のもとになった、白は平等、赤は友愛を現わしているのだと思います(俗説)。
妻はお酒がすすむと言っていました。
お煮しめ
お澄ましの二番だしに醤油とみりん、干しシイタケの戻し汁を足してレンコンとニンジンと干しシイタケとこんにゃくを煮詰めます。いろんな素材と協調して良い味を出すというチームワークをだせるようにという縁起ものです。最近は、レンコンやゴボウは酢水にさらしたりはしなくそのまま入れたほうが美味しいと思っています。 妻はお酒がすすむと言っていました。
干しシイタケはこれ。美味しいです。 www.on-the-slope.com
酢の物
タコとわかめときゅうりの酢のもの。 普段、酢のものをつくらないので白ごはんドットコムを参考にしました。
タコは、蛸薬師(蛸薬師通は繁華街として知られる)の由来にあるように病気を治すという伝承があります*2。
妻はこれもお酒が飲めると言っていました。
お赤飯
日本食研の早炊き米。ふつうに炊飯器で炊けて美味しくて便利です。 もち米は昔からハレの日に食べられていましたね。小豆も高たんぱく。
石
お食い初めでは、石を口にあてて「歯固め」というのをするそうです。身近にあった石をいくつか使いました。
- 腹帯をもらった神社で拾ってきた石。妻が生まれたときも、妻の母はこの神社で拾ってきてお食い初めをしたらしい。
- 妻の実家の裏に落ちていた石。由来は謎。
- 笏谷石(しゃくだにいし)のおちょこ。自分が中学校のマラソン大会でも走ったり遠足でもきたり家族で花見にも行ったりした福井の中心部にある足羽山でとれる石です。
ちなみにこのお盆とお椀2つは出産祝いで頂いた土直漆器さんのものです。よいので大人用も欲しい・・・。
全景
こうなりました。
勘のいいかたなら気付くと思いますが、鯛は右に頭をして焼いてしまいました(鯛を紹介した写真は反転させています)。 一部の地方では、これは葬式のときスタイルとする土着の風習もあるようですが、そもそも葬式で鯛を食べるか?という気もしてどうでもいいでしょう(一人一匹なら右利きの人間は頭左のほうが食べやすいとは思います)。
そんなこんなで開催したお食い初めでしたがなかなかハレの日感があってよかったです。 「めでたい」の鯛のように、ダジャレで縁起をつくっていきましょう。