こんにちは。 id:daaaaaai です。今日は日本で最初のカレーのレシピとされる、西洋料理指南のカレーのレシピをつくってみます。 明治5年(1872年)に敬学堂主人によって書かれた本です。
そんな昔の本でも、国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。ありがとうございます。 こんな表紙の本。
敬学堂主人が何者かは不明ですが、著作権者が死んで70年はたっているはずという推論で著作権に問題がないと考え、本文の画像を転載します。
「カレー」ノ製法ハ葱一茎生姜半箇蒜少許ヲ細末ニシ牛酪大一匙ヲ以テ煎リ水一合五勺ヲ加ヘ鶏海老鯛蠣赤蛙等ノモノヲ入テ能ク煮後に「カレー」ノ粉小一匙ヲ入煮ル 西洋一字間巳ニ熟シタルキ塩ニ加ヘ又小麦粉大匙二ツヲ水ニテ解キテ入ルベシ
現代風に書くと、「カレー」の製法は、葱一茎、生姜半個、ニンニクを細かくしバター大一匙で炒めて水一合五勺(270ml)で鶏肉、海老、鯛、カキ、アカカエルなどをいれてよく煮て、のちにカレー粉を小さじ1いれて1時間煮る。その後、塩を足して、小麦粉大さじ2を水に溶いていれる。
アカカエルは入手できなかったけれど「など」という言葉に甘えて省略。単純に見てみると、野菜はほぼなく、魚介類を煮詰めるほど煮る料理の様子。まあ、おいしいはず。
現代とは違うカレー粉だろうけれど、S&Bのものをいれます。
こうなりました。
うまい魚介類を煮詰めたら出汁が出て当然うまいということが確認できました。カレー粉をもっと入れたら現代風のシーフードカレーになるかもしれません。2歳児は頑なにカキを食べなかったけれど、ほかのものはもりもり食べていました。
なんでこの古代のカレーを作ろうと思ったかというと、中公新書の「トウガラシの世界史」にて紹介されていたからです。
今回つくったカレーに欠かせない辛さはトウガラシ由来です。 中南米原産のトウガラシはインドへは16世紀にヨーロッパ経由で伝わったと推測があって、そこから料理にも使われているはず。日本にはかなり早く、ポルトガル人が1542年、あるいは1552年に伝えたとされる説がもっとも古く、中国よりも早いらしいです。四川料理で知られる中国で料理に使われたのは19世紀からで、キムチが有名な韓国でも1766年とのこと。 ほかハンガリーのグヤーシュなど、トウガラシやトウガラシ由来の野菜は各国の国民食ともいえる料理の重要な要素になっています。このトウガラシが比較的最近伝わったもので、そこから各国の食文化に大きく影響を与えているのは興味深いです。
ひょっとすると未来の日本食は、現在のものと全く違うかもしれませんね。
こちらのブログに感想文を書いています。 「トウガラシの世界史」で読む作物と文化の共進化 - ぜぜ日記
この記事はつくりおきアドベントカレンダーの18日目の記事でした。
昨日は id:toya さんの ぴよりんについての記事。知りませんでした。繊細な食べ物です。
明日は id:kazuhi_ra さんの記事です。受肉がテーマだそうで楽しみです。
今年も大詰めですが最後まで駆け抜けていきましょう。