#つくりおき

一人暮らしをする男性の雑な料理たち

ポーサレの手法を応用したチャーシューと手打ちラーメンに挑戦

4連休ですが、あの病気が怖くて引きこもっている独身男性 id:UDONCHAN。みなさんは自粛していますか?日本人は自粛が得意。引きこもっていきましょう。 しかし、いったいいつまでこんな生活がつづくんでしょうか。

今日はチャーシューを煮てラーメンにします。引きこもってやる娯楽といえば自分の場合は料理を作って食べるということになるのでやっていきましょう。

ところで、これは縛って塩漬けにした豚肉。

f:id:UDONCHAN:20200724181955j:plain

巻いてもいない肉を縛るのは、主に完成時の形の良さためです。 縛らないと端の方がどうしてもバラバラになりがち。

まずは、これをチャーシューにしていきましょう。

チャーシューは漢字で書く焼豚。 でも、一般的なラーメン店で出てくるやつは茹でて作った煮豚であることが多いようで、全然焼いてない。むしろ煮ている。一体なぜなのか。

これについて考えるために、まずは、豚ブロックの調理法かのバリエーションについて見ていきましょう。それぞれのメリット・デメリットがあることが分かります。

手法 メリット デメリット
オーブン焼き
  • 表面に塗ったタレの部分が香ばしく仕上がる
  • 焼き加減が決まると、本格中華のようなしっとりねっとりとした仕上がりになる
  • 肉の状態によって温度調整などが難しく、しばしば過剰に水分や油分が抜けてパサパサした仕上がりになる。
  • 頻繁に表面にタレを塗るのが手間。
蒸す
  • しっとり柔らかに仕上がる
  • 蒸し上げたあとにタレに漬けるので肉の中まで味が染み込む
  • オーブン焼きに比べて温度が低いので仕上がるまで時間がかかる
  • 通常の蒸し料理よりもかなり長時間かかるので、蒸し器が空焚きにならないように気をつけるのが手間。
  • 油分が過剰に抜けてしまうことがある。
茹でる(煮豚)
  • 安定してしっとりと仕上がる
  • ほとんど放置で良いので手間がかからない。
  • 茹で汁に旨味が抜けてしまう。
  • 肉を柔らかくするために長時間加熱すると肉が出汁ガラのようにカスカスになってしまう。
低温真空調理
  • 水も油も旨味も抜けずに低温調理特有の独特なやわらかな仕上がりになる。
  • ほとんど放置で良いので手間がかからない。
  • 真空パックする特性上アクや雑味が残る。
  • 食材の品質が悪いと柔らかく仕上がらない。

ラーメン店が煮豚の方式を採っているのは、安定して作ることができて、しかも手間がかからないことが要因だと考えられます。 「オーブン焼き」や「蒸す」場合はどうしても手間がかかってしまい、店舗オペレーションに大きなインパクトを与えることになるでしょう。

手間がかからないのはとても都合が良いのですが、一方で煮豚の場合は焼いたり蒸したりするのと比較して、煮汁に味が抜けてしまうというデメリットがあります。 しかし、この問題はラーメン店の場合においては、いくらか軽減されています。スープの出汁をとるときに、一緒に肉を煮込むので、茹で汁に逃げた旨味はスープとして回収できます。 料理全体として旨味の量が変わらないんだから、それでよかろうという寸法です。

一方で、煮豚自体が出し殻になってカスカスになってしまうというデメリットは残ります。このとき、旨味の強い部位を使うことによってそれは軽減されます。

二郎系などの場合は旨味も強いが雑味も強く、そして肉質が硬い腕肉を使うというアプローチを採っています。 この場合、多少旨味が抜けても肉がカスカスになることは無いし、スープのパンチが効いているので多少の雑味がでても問題がないというからくりです。

しかし、このような味のパンチの強い部位はどのようなラーメンにも採用出来るわけではありませんし、チャーシュー単品で食べようとする場合はなおさら向きません。 高級な素材を使えば解決しますが、これは全体の価格に対して大きなインパクトを与えるでしょう。

そこで、更に代替となる案として、Anova などの器具を利用した低音真空調理が挙げられます。 しかしながら、この方式も決して銀の弾丸とはなり得ないようです。

最近は Anova 意外にも国産の類似の商品がでていて、低温調理器は入手しやすいようです。

そういえば、以前に、豚の腕肉を低温調理した結果失敗したことがあります。

tsukurioki.hatenablog.com

低温調理の場合、真空パックの特性上、どうしても余計な雑味や油、雑味が抜けません。 また、硬い肉質は低音の場合、長時間熱を入れても柔らかくなることはありませんでした。 この方式の場合、やはりある程度のグレードの食材が必要となるでしょう。

やはり肉の性質に応じて調理法は検討するべきでしょう。 さて、今回用意した肉はそこまで良いものではありません。 近所のスーパーで調達したカナディアンポーク。別にカナディアンポークが特段にまずいということはありませんが、近所のスーパーで入手したものは価格重視のグレード。 そういえば、近くにいた家族連れの小さな子供が親に対して「カナディアンポークは美味しくないからヤダ!!絶対に国産!!」と言ったのを聞いたことを思い出しました(どんな舌の肥えた子供なんだ…)。

というわけで、安いグレードの肉でもそれなりに調理の難易度が高くなく、 それでいてそこそこ美味しく食べられる新たな他の手法を試そうと思います。 今回はポーサレというフランス料理の手法を応用します。 これは上記の煮豚の方式をベースに応用した手法で、肉が出汁ガラのようになるデメリットをいくらか軽減します。

安い食材を美味しく食べることこそ料理の醍醐味、ここは知恵と工夫で乗り切りましょう!まずは、出典となる情報源を挙げます。

f:id:UDONCHAN:20200726064358p:plain


f:id:UDONCHAN:20200726064425p:plain

原作:久部緑郎、作画:河合単『ラーメン発見伝(2)』(小学館2000)

ラーメン発見伝: 塩の秘密 (2) (ビッグコミックス)

ラーメン発見伝: 塩の秘密 (2) (ビッグコミックス)

  • 作者:久部 緑郎
  • 発売日: 2000/08/30
  • メディア: コミック

「知恵と工夫」などとか仰々しいことを言ってはみたものの、出典は例の漫画です。というか、『ポーサレ』でググるとこの漫画の情報しか出てこない。 情報が強い。もはや本物のフランス料理のポーサレの情報が出てこないという。

話は戻って、この手法のアイデアはシンプルです。コアとなる考え方は、スープで肉を煮ることでスープの旨味を肉に入れること。 あらかじめ肉を塩漬けにすることによって、肉の旨味が一方的にスープに抜けるのではなく、 浸透圧が良い感じに働いて、スープの旨味が肉に戻るという仕組みです。 果たしてそんなにうまくいくのかという疑問は残りますが、早速肉を煮るスープを作っていきます。

f:id:UDONCHAN:20200724181959j:plain

本来であれば鶏ガラとか豚の背ガラ、豚骨などを煮込んでいくのが正攻法ですが、一般のご家庭でやるのはかなりハードルが高いです。 キッチンが油でギトギトになり、シンクの排水溝は油ですぐに詰まってしまうでしょう。 ネット上で頻繁に本格的なラーメンスープを作っている人を観測しますが、どうやってキッチンを維持しているのかが気になります。

今回は味覇を溶いたスープに、クズ野菜を加えました。玉ねぎの皮が意外に良い仕事をします。やりすぎると渋くなるので途中で取り出しましょう。

味覇(ウェイパァー)チューブ 125g

味覇(ウェイパァー)チューブ 125g

  • 発売日: 2016/10/04
  • メディア: 食品&飲料

味覇はチューブのものが便利です。たくさん使うなら缶のもののほうがお買い得。

f:id:UDONCHAN:20200724183321j:plain

あとで味玉をつくるのでゆで卵を作っておきます。 鍋で沸騰させた湯に、そっと冷蔵庫からだした卵を入れましょう。 卵を入れた直後に菜箸でぐるぐるとかき混ぜると、黄身が片方に寄らずに真ん中に来ます。

ギリギリの半熟を狙うなら茹で時間は6分半くらいですが、自分の場合は8分程度のねっとりとした食感が好みです。

f:id:UDONCHAN:20200724183315j:plain

肉がひたひたになるくらいの水位で茹で始めます。ふつふつとした感じの弱い沸騰を保ちましょう。このとき、落し蓋もしておくと肉が浮いてくるのを防げます。

f:id:UDONCHAN:20200724192915j:plain

大体40分から50分くらい茹でるとこのくらい水位が下がります。今回のサイズの肉の場合はこのくらいの時間で茹で上がりです。

f:id:UDONCHAN:20200724193522j:plain

茹で上がった肉はジップロックで空気を抜いてタレに漬けます。また、ゆで卵も一緒に漬けます。漬けダレは、醤油、塩、酒、みりん、水を煮詰めて旨味調味料を加えたものを使っています。こちらは工夫の余地あり。

冷やすと早く漬かる気がするので、保冷剤で冷やしていますが、これは迷信かもしれない…。いずれにせよ、肉を薄く切るには、冷えてないと難しいので、いずれにせよ後の手間が軽減されます。

f:id:UDONCHAN:20200724193723j:plain

肉を煮たスープは、あとでラーメンのスープにするので濾しておく。

f:id:UDONCHAN:20200724202346j:plain

大体2時間から3時間くらい漬けると食べごろだと思います。しょっぱいのがお好きなら、もっと漬けても良いと思います。

f:id:UDONCHAN:20200724202619j:plain

スライスしてから保存しておくと、後で使うときに便利です。このまま食べても十分に美味しい。 肉の味以外に野菜由来の旨味や複雑な味が感じられ、なんとも不思議な感じがします。

ポーサレの手法の有効性については、とりあえずは確認できたと考えられるでしょう。というか、こんなにうまくいくと思わなかった。

チャーシューが出来たのでラーメンの準備をしていきましょう。麺に関しては手打ち麺に挑戦しました。

こちらの記事を参考にしました。安定の標本さんの記事です。

r.gnavi.co.jp

f:id:UDONCHAN:20200724221846j:plain

途中で若干我流になりましたが、なんとかなるもんです。いや、この時点でなんとかなったかはわからなかったのですが、結果的に麺はちゃんと作れました。 小麦と向き合うのは意外にストレス解消になるので皆さんもお試しあれ。

このままジップロックの口を閉じて冷蔵庫で一晩寝かせます。この日はチャーシューをつまみにビールを飲んでベッドにダウン。

翌朝、午前中からラーメンを作っていきます。

f:id:UDONCHAN:20200725125913j:plain

昨日作ってスープは若干味のパンチにかける気がしたので、ダブルスープにすることにしました。 業務用厚削り節で魚介スープを作っていきます。

この手の混合削り節を持っておくと気軽に魚介スープが作れて便利。味噌汁にしても味が濃くてうまい。 一度で結構な量を使うので大きめのサイズのものを買っても意外にすぐに使い切ります。

f:id:UDONCHAN:20200725130909j:plain

麺を茹でていきましょう。市販の麺ではないのでいまいち茹で時間がわかりませんでしたが、味見しながら調整しました。結果3分半くらい。

これと並行してトッピングを準備します。今回は、昨日作ったチャーシューと味玉の他に、茹でたもやしと刻んだ万能ねぎにしました。

f:id:UDONCHAN:20200725131502j:plain

茹で上がったら、しっかり湯切りして盛り付けて行きましょう。肉を漬けていたタレを丼に注ぎ、2種類のスープで割っていきます。そこに麺を入れてよくほぐしたらトッピングをキレイに添えましょう。

味玉があると急に見た目が映えますね。この時点で、見た目はかなり美味しそう。

f:id:UDONCHAN:20200725131549j:plain

麺は太かったり細かったり、長かったり短かったりで不格好ですが、もちもちした食感はかなりの満足感。 一方で、中華麺特有の旨味が足りないと感じたのは、熟成が一晩程度だったからかもしれません。次は2日間くらい熟成させたほうが良いかも。

スープはかなり課題が残ります。やはり、ガラ系の旨味がないので味が薄っぺらい。 塩味を足してもただしょっぱくなるだけで物足りない。うま味調味料を足せばよいというものでもなさそうです。 しかし、本格的なラーメンスープを自宅で作るのは困難なので、何かしらの工夫が必要そうです。

それなりに手間と時間がかかる料理ですが、ちょっとしたアトラクション感もあり、このご時世の巣ごもり生活にちょっとした刺激を与えてくれました。 まだまだ工夫の余地が残るところですので、また挑戦してみようと思います。あと、妻がうまいうまいと食べてくれたので満足感プラス。結婚してよかった。

それでは皆様ごきげんよう。サンキューでした。